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学習雑誌「科学」・「学習」の学研は、高齢者住宅の会社となりました

みなさんの中に、学習雑誌 『科学』・『学習』と聞いてピンとくる方はいらっしゃいますか。

私の子どもの頃は、毎月送られてくるこの雑誌と付録に心をときめかせていました。

何十年も前、子どもたちのバイブルだったこの学習雑誌は、少子化と出版不況のあおりを受けて2010年に休刊となり、この雑誌を発行していた学研という会社は、その後「学研ココファン」という会社をつくり高齢者住宅に乗り出しました。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、2011年10月から登録が始まった新しい高齢者賃貸住宅の制度ですが、学研はそのサ高住に特化した高齢者住宅を急拡大させました。

介護業界に異業種から参入したにも関わらず、現在、グループ全体で63棟持ち、サ高住の中で業界第2位の位置まで急成長しました。

介護業界にいる私から見ると、「学研ココファン」のサ高住としての知名度は高く、もう学習雑誌『科学』・『学習』の会社という面影はまったくありません。

実際私が勤務している地域包括支援センターの担当エリア内にも、「学研ココファン」の住宅があり要支援の担当利用者さんが住んでいらっしゃいます。

サービス付き高齢者向け住宅に関しては、サービス付き高齢者向け住宅情報供給システム から詳しくご覧いただくことができます。

学研は、学習雑誌を発行する出版業がメインの会社でした。

現在も、売上比率からすると、圧倒的に教育事業の方が上回っていますが、5年後あたりには高齢者事業の売上が逆転する可能性があります。学研と同じように、現在、介護業界に参入してくる異業種の会社は増えております。

特にサ高住においては、異業種の会社が多く参入を表明しており、名だたる大企業が関連会社などと協力して介護業界の足がかりをつかもうとしております。

参入を表明した企業は、家電メーカーのパナソニック、出版取次大手のトーハン、トヨタは関連会社のトヨタホームが2014年11月に愛知県に開業するなど、既にサービスを開始しています。

セブン&アイ・ホールディングスはファミレスのデニーズを建て替えて、参入する予定があります。

参入する会社は増える一方ですが、建物を自前で建てたまではいいものの、介護サービスのノウハウを持たない会社がほとんどです。

そういった場合、介護の部分は既存の介護サービス会社に委託しているケースが少なくありません。

お互いのメリットを活かした協力体制(介護会社は建設コストの削減、異業種は介護サービスの調達)になりますので、サ高住はすごいペースで増え続けています。

特養養護老人ホームが、来年4月から原則要介護3以上の介護度の方が入居対象と変わりますので、サ高住はその受け皿としても期待されています。あくまでも施設ではなく住宅なので、入居時には注意が必要となります(絶えず介護が必要な方は入居が困難かもしれません)。

前回、介護の人手不足の記事を書きましたが、異業種が参入し魅力ある介護サービス、介護事業所が増えるようであれば、介護業界の地位向上や会社選びの際のブランドイメージなど(トヨタやパナソニックの名がついた会社だったら安心という動機)で、介護業界に目指す人が増える可能性があります。

心配な問題としては介護業界自体、大部分が中小企業の会社が運営しているので、そういった既存の会社が大手資本が参入したことで淘汰される可能性があります。

但し、淘汰がシステムの効率化や介護サービスの質の向上といういい効果であれば、業界全体の視点で考えれば悪くはないかもしれません。

その考えに至った経緯として、介護サービスの会社で働いていた方が、びっくりするくらい簡単に独立されてデイサービスを立ち上げたり、ケアマネの事業所を開設する風潮があるからです。

その分、すぐにサービスを中止したり、事業所を閉鎖することが頻繁に見られます(介護業界の悪習です‥)。

何度でも言いますが、介護業界の人手不足を解消したり、人材の質を上げていくには給与面などの待遇を良くするしか方法はありません。

国の決定する介護報酬の引き下げは、まったく逆の方向に進むので人手不足は更に悪化しそうな気がします。

国の政策には当面期待できませんが、介護業界に異業種の大手企業が多く参入することで、その解決を見出す企業がでてくるかもしれません。

介護業界は、どさくさな時代がまだ続いていますが、そこから明るい光が出てくることを心から期待しております。

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