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質の高い介護福祉士を大学で育てることができるか

2014年12月30日

介護福祉士養成課程を持つ4年制大学の全国組織である介護福祉士養成大学連絡協議会は、大学でマネジメント能力などを身に着けた「介護福祉士のリーダー格」を要請できるよう15大学から約30人の教員が集まり、独自の教育体系をつくることを提案する考えです。

2025年までに必要と推計する介護人材は現在より100万人多い237~249万人。
そのうち5割を介護福祉士として、現場で特に専門性の高い中核的な役割を発揮する人材と位置づけます。

そして介護福祉士の中でも現場のリーダーとなり得る人材を、大学教育で賄うという計画です。

現在の介護福祉士資格者の推移をみると、毎年8~9万人ずつ資格者は増えていますが養成施設卒業者は1万人程度と、全体に占める割合は2割以下にとどまります。

今後この比率で推移すると、実務経験で取得した資格者が圧倒的な人数に占めることになります。

大学でリーダー格として育てるカリキュラムには、医療関連の科目マネジメント能力、社会福祉士の受験資格、介護教員の養成科目も融合させていくとのこと。

残念なことに、現在福祉系大学は以前と比べて人気学部ではありません。

以前お伝えしましたが、新設の大学、学部は看護学部が多く増やしている状況で、福祉系の学部と学科は一大学ずつ増設されるだけです。

新規大学の3大学は、看護学部とリハビリ学部両方がある湘南医療大、理学療法士と作業療法士専攻がある長野保健医療大、看護学部がある鳥取看護大と、全て医療系の大学となります。来年の新設大学は、3校全て医療系 

福祉系の学部増設では、新潟青陵大が福祉心理学部を増設し社会福祉学科を75人募集をしますが、合わせて臨床心理学科35人、看護学部看護学科85人を募集し、看護福祉心理学科を195人を募集停止しますので、実質はプラスマイナスゼロです。

福祉系の学科増設では、十文字学園女子大が人間生活学部人間福祉学科を100人募集しますが、今までの人間福祉学科を60人募集停止するので、実質40人のプラスになります。

大学教育において、福祉系の人材を多く確保する動きには至っていません。

今ある介護福祉士の受験資格を得られる教育をしている大学で、介護現場のリーダーを育てるということになります。
福祉系の大学で、社会福祉士の受験資格を得るために学ぶ学生は多くいますが、介護福祉士の資格を得るために併用して学ぶ学生は多くないはずです。

両方の資格を得るための勉強が相当量になるため、大学で制限しているところやどちらかしか取得できないようにしているはずです。

私が学んだ大学では、そもそも介護福祉士資格を取得するカリキュラムはなかったですし、福祉系大学でも介護福祉士資格が取得できる大学は多くありません。

介護業界の給与体系を考えると、高い授業料を払って大学で介護福祉士取得できることが、学生やその親たちに魅力的に映るかは、何とも言えない状況です。

介護業界に若い人材や、いい人材を集めるには、給与面など根本的な問題を解決しない限り人手不足が加速していくと私は思います。

 

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